前書き
IBMのCCOが書いた本である「生成AI時代の価値の作り方」を読んだので雑多なメモを書く。Amazonのレビューでは酷評されているが、個人的には読んでいて面白かった。
読書メモ
AI+と+AIという考え方
AI+は文字通り、すでに動いている何かに対してAIをプラスすること。一方でAI+というのはAIの存在を前提にして全く新しいフローを構築するという考え方。 例えば、AIチャットbotの追加などは+AIに該当する。AI+の例としては、AIが月末になると勝手に社員の経費項目をツールなどを使用して読み取り、自動で経費申請を作成し、HITLでコーポレートに確認してもらうなどのフローを構築することがAI+。本書の中ではAI+で考えることが重要であり、企業が+AIの価値観でいるとすぐに取り残されてしまうと書かれている。
シフトレフトとシフトライト
従来、シフトレフトとは、開発フローの左側つまり、開発初期において早期からテストを組み込むことで不具合の早期発見や修正コストの削減、製品の品質向上などが期待できる手法である。本書ではシフトレフトという概念を拡張している。AIなどの技術を連鎖的に発生する一連の事象の初期段階で利用することで、社会貢献及び利益を生み出すという考え方である。解決すべき課題を見極めよう、顧客が問題にしていることの根本は別の問題であり、その別の問題を解決することが重要といった内容かと思われる。一方でシフトライトはシフトレフトで節約できたリソースを新たな事業に投入しようということらしい。世の中にはシフトレフトで解決できる課題がまだまだある。
1つのモデルが勝利することは無い
本書では1つのモデルが勝利することはないと書かれている。理由はいくつかあるが主な理由はSLMの存在である。SLM(Small Language Models)は、LLMよりもコストを抑えて運用することができる。さらに特定のタスクについてはLLMの性能を超えることが観測されている。企業はコストと永遠と戦い続ける存在であり、企業がAIを利用したいスコープが決まっているなら、大規模なモデルにお金を払うよりも、SLMを選定することでコストが大幅に削減できる。 このような流れから、単一のモデルが勝利することは無いと書かれている。
IAの重要性
AIを利用するにはIAが重要。IAとはInformation Architectureのことである。IAとAIの語呂がいいから選ばれたのかは不明。要はデータが重要。LLMにはWebや文献などのデータ(著作権を無視したものも含む)が利用されているが、企業のデータは1%にも満たないらしい。そこで自社のデータを加えることで大幅な精度の向上が見込める。しかし、それをするにはデータが必要であるし、整理されたデータが必要。つまり、AIの前にIAが重要という流れである。これは昨今のドキュメンテーション文化にも通じる部分がある。
まとめ
AI+と+AIの考え方は確かにと思える内容だった。今の人間がなんの意識もなく電気やインターネットを使うのと同じようにAIも存在を意識せずに使う世界はどんな世界なのだろうか。あと50年生まれるのが遅かったら、どんな職に就くことになるのだろうか、などと考えるのであった。